目からウロコ!介護の残念な現状と護道の凄さが分かる本

介護

廣木道心ひろきどうしんさんって方をご存じでしょうか?「護道、相手も自分傷つけない」という、強度行動障害児・者のパニック時の対処法を世界で初めて編み出した凄い人。その人が書いた発達障害・脱支援道という本を読みました。福祉の世界を気持ちいいくらいにズバッと切り捨ててあったのと、護道について触れていました。とても興味深い内容でしたのでみんなとシェアしたいと思います。

廣木道心さんのプロフィール

・1972年兵庫生まれ
・武道家
・自閉症で知的障害のある息子を持つ2児の父
・息子のパニック時の対処法をカタチにした、介護支援者も障害者も傷つかずに事態を収束する支援介助法を考案し、国内外問わず高い評価を受ける。
・福祉現場では介護福祉士として働きながら、自他護身の為の護道を創始。
・「発達障害・脱支援道」「自傷・他害・パニックは治りますか?」「発達障害のある子どもへの支援介助法」など著書多数。
・介護福祉士→介護事業所の施設長を経て、現在は武道家として活動をしながら全国で介助法を指導に当たっている。

廣木道心さんから見た介護現場の現状

◎放課後等デイサービス

・2005年発達障害者支援法創設により、デイサービスが始まる。
・療育スキルは提供されるが、無償ボランティアや低賃金アルバイトが多く、介護士の定着率が低い。 ・送迎サービスにより親子の時間が減少し、長時間の託児所化している。
・利用者が同じ施設を長期間利用することで、地域の子どもたちとの交流が少なくなる。
・行動上の問題(自傷、他害、パニック)により利用制限が生じる可能性がある。
・ヘルパーの人数不足により、個別対応が困難。
・ 親子の身体的接触の減少により、愛着障害のリスクが高まる可能性がある。

◎作業所・授産施設

・2006年以降、多くの作業所・授産施設が就労支援B型に移行し、支援の焦点が訓練から就労へと変化した。
・製品の販売が不振で、デザインから販売までヘルパーが担当していることが多い。
・主に内職作業が中心で、作業量に関わらず工賃が一定。
・スタッフの質により虐待のリスクがある。
・社会から隔離され、一般に認知されていないことが多い。
・利用者への不適切な対応(過剰な身体拘束など)による重大事故の発生。
・資格や経験のない事業者の参入や、複数のサービスを組み合わせて利益を追求する事業所の存在。

◎介護の資格制度

1、介護福祉士の資格に関する課題:
取得に時間とコストがかかる割に、給与増加が少ない。
主に高齢者介護向けで、障害者支援には不十分な面がある。
2、サービス管理責任者の資格取得の難しさ:
介護福祉士資格後5年の実務経験が必要。
抽選制で選考から漏れることがある。
3、強度行動障害支援者養成研修の限界:
実践的なパニック対応スキルが学べない。
4、福祉サービス事業所運営の課題:
資格者の人員配置規定があり、様々な資格保持者が必要。
投資した時間と費用の回収のため、業界の問題に気付いても離れられない人が多い。
問題のある有資格者でも、人員配置の都合上解雇が難しい。
5、資格と実務能力の乖離:
資格の数と現場での実践力が必ずしも一致しない。

他にも在宅介護(サテライト型住居)・移動介護従事者・グループホーム・生活介護事業・就労支援B型の事など細かく書かれておりましたが、どこも根本的な問題を抱えており、福祉事業の難しさがよくわかるような内容でした。

育児から培った護道~武道家×障害児×親バカ=世界初の支援道の創出

道心さんは、わが子が自傷・他害・パニック行動に陥った時に、無我夢中に対応していたようです。特に子どもが妻や姉に他害をしないようにとじゃれあっている中で、相手も自分も傷付かずに抱きかかえ、症状を落ち着かせるといった手法を自然と編み出してしまったようです!

それが護道です。

今まで全世界で強度行動障害のパニック時の対応法は無かった為、とても画期的だったようです。

パニック時には護道構えにて対応し、手順を踏んで抱きかかえに持っていくそうです。

すげぇぇ!

私も一応中学の時に柔道を経験しているのですが、無理やり抑えつけるか腕を捻って関節を決めるとかしかできなくて、一歩間違うとケガさせてしまうんじゃないかとびくびくしてました。

護道についてはYoutubeの動画でも一部ではありますがご案内されてます。
こちらは垂涎モノでございます。

もうカッコよすぎ!
私も強度行動障害の方の支援をしている為、会得出来るようにイメージトレーニング中です。

精神科は薬局のような対応しかしない

道心さんは医者についても薬局程度でしかないとばっさり切り捨てておりました。

中にはしっかりと症状を改善できる先生もいらっしゃるようですが、大半のお医者様は話を聞いて薬を処方するだけのようです。童心さんが見てた利用者の方の中には症状が改善された方は見たことが無いようです。

私の利用者の方も基本症状は良くならず、いかに環境を整えるかくらいしかできませんでした。

また童心さんはこのように述べてました。

せめて暴れる人を減らしましょう。

他者の自由を奪わなければ日本の制度では行くところはあります。確かに現状の福祉には問題点も多いですが、それでも質の高いヘルパーに運よく当たる可能性もあります。また、暴れる人は介護施設でも利用を断れたりすることもあるので、行きつく先は隔離病棟という名の牢屋です。

中には殴られたり蹴られたりしても我慢して耐えながら支援される方もおりますが、介護士は利用者の奴隷ではなく、ちゃんと人権も御座います。

また親が障害者に他害を受けながら耐えている方ももちろんいるでしょう。
なので、せめて暴れる人を減らしましょうと言う事です。

その為の護道ですから!

護道を見よう見まねで体得できるんでしょうか?
今度他害を受けそうになったらとりあえず実践してみたいと思います。

出来れば童心さんをお招きして指導を受けてみたい!
困っている人は大勢いますから。とても為になる本でした。

介護・福祉の転職サイト『介護JJ』